僕が弁護士兼キャリアコンサルタントになるまで

弁護士

こんにちは!弁護士兼キャリアコンサルタントのちーたらのパパです。
本記事にご興味を持っていただきありがとうございます!

このブログでは、今まで、僕たちが取り組んでいるチーム育児や、キャリアコンサルタントの資格・仕事に関する記事を投稿してきました。
先日、弁護士としても、もっと情報発信をしていこうと思い立ち、noteにも記事を投稿し始めたのですが(詳しくはこちら)、どうせならこのブログでも、note記事を紹介していこうと思います。

今回は、「僕が弁護士兼キャリアコンサルタントになるまで」の話です!

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はじめに

僕は、関西の法律事務所に勤務する弁護士(60期代)です。
現在に至るまで、様々な案件・クライアントに触れ、刺激的な経験をしてきた一方で、何となく充実感ややりがいといったものをを感じられないまま業務に取り組んできたという感覚もありました。

そうした感覚から、今まで様々な挑戦をしてきたのですが、その中で最近特に関心を持っているのがキャリアコンサルティング組織開発の分野です。

具体的には、国家資格のキャリアコンサルタントを取得したり、それに関連する分野の勉強をしてきたことを通じ、弁護士として、弁護士(特に若手)の皆さんが自分らしいキャリアを歩めるように、また、法律事務所の組織そのものをより良い組織にすることで、そこで働く人がやりがいを感じられるように、サポートしたいという思いを抱くようになりました。

そこで、このブログでも、このミッションを実現するために、僕が自らの所属する組織で模索している取り組みなどをご紹介していければと思っています。

まず、今回の記事では、僕がこのような取り組みをしようと思うに至った経緯について、弁護士の就職活動弁護士のキャリアという観点からご紹介したいと思います。

弁護士の就職活動

まずは、僕自身の採用活動を振り返ってみたいと思います。

法科大学院時代ー就職活動はほぼノータッチ

僕は、京都大学法科大学院を修了したのですが、周囲には優秀な同級生も多く、同級生の多くがいわゆる4大法律事務所のサマクラなどの就活イベントに参加していました。
僕自身はといえば、あいにく成績が芳しくなかったのと、また、恥ずかしながら、当時は「4大みたいに企業法務ばっかりやるのは嫌。まずは一般民事や刑事事件も含めいろいろな業務をやりたい」と斜に構えていたこともあり、そもそも応募すらしませんでした(きっと不採用になることで自分を否定されたように感じるのが嫌だったんだなと今は思います)。

そのため、法科大学院時代の就職活動といえば、たまに学内・学外で開催される説明会などに参加する程度で、ほとんど就職活動とは無縁の生活を送っていました。

今振り返れば、サマクラに参加した同級生たちは、生身の弁護士や実務に触れることで、刺激を受け、さらには自分が弁護士として何をやりたいのか自問自答を深めることができ、必然、その後の就職活動もスムーズに進んだのだと思います。
この意味で、サマクラに参加した人たちは、就職活動という点では、僕よりも一歩も二歩も先に行っていたんだなと感じます。

もし、この記事を読まれている法科大学院生がいらっしゃれば、サマクラを実施しているような5大法律事務所などの大手法律事務所に興味があるかどうかにかかわらず、応募されることを強くお勧めしたいです。

司法試験後ー就職活動、本格始動

今は分かりませんが当時は、司法試験後の夏の時期に、いわゆる大阪4大事務所や中規模法律事務所を中心にサマクラの募集がありました。
僕自身、関西での就職を希望していたので、片っ端から応募し、このときはありがたいことに複数の事務所に採用いただきました。

ただ、今振り返ると、当時は(本当に恥ずかしい話ですが)、サマクラ=アルバイト・小遣い稼ぎという感覚があったのに加え、就職活動という観点でも、実際に弁護士に会ってみて自分と合うかどうか吟味しようという感覚で、いわば受け身な気持ちで参加していたと感じます
そのため、サマクラを通じても、「自分が弁護士としてどんな業務をしたいのか」といった自問自答を深める段階には至らず、せっかくのサマクラという機会を活かしきれなかったと反省しています

その後、晴れて司法試験に合格した後も、就職活動を続けましたが、自分のやりたいことや強みをきちんと分析できていなかったこともあってか、内定をもらえないまま、司法修習に臨むことになりました。

司法修習生時代ー就職活動に悪戦苦闘

修習地は、僕の大好きな「京都」。
関西での就職を希望していたので、就職活動という点でも非常にありがたかったです。

ただ、今の状況は分かりませんが当時は、関西の法律事務所の就職は、いわゆる大阪4大などの大手法律事務所や中規模事務所は既に内定を出しており、小規模事務所も、日弁連の採用サイト「ひまわり求人求職ナビ」に掲載されている以外は、採用情報を見つけることもできず、大変苦労しました。

その一方で、京都修習は、人気の修習地の一つのため、既に4大法律事務所などから内定をもらっている修習生が多く、かつ、僕自身も気の合う同期に恵まれたこともあって、つい遊びを優先してしまい、就職活動に本腰が入らないという日々を過ごしていました。

今思えば、なかなか内定をもらえないことで、焦りを感じ、やや自暴自棄になってしまっていた部分もあるのかなと思います(司法修習自体はとても楽しかったですよ!念のため。)。

最終的には、最終選考まで進んでいた現在の所属事務所がタイミングよく採用枠を増やすということで拾っていただき、無事、弁護士としてのキャリアをスタートさせることができました。

小括

以上が僕が採用内定をもらうまでの経緯です。

僕自身、こうして振り返ってみても胸が痛むくらい、当時は就職活動がうまくいかず、精神的につらい日々を送っていました。
今ではこれも自分がきちんと自分自身や事務所の分析をしてこなかったことが大きな原因だと分かるのですが、当時は、「なんで誰も採用してくれないんだ…」と心が折れそうでした。
運よく現在の事務所に拾ってもらえてなかったらどうなってただろうと想像するとぞっとしますね。

こうした苦い経験が、先に述べたように、若い弁護士や弁護士を目指している人が自分らしいキャリアを歩めるようなサポートがしたいという思いに繋がっているように思います

法律事務所時代

僕が入所した法律事務所は、いわゆるマチ弁の法律事務所
入所当時は中小企業を中心とする企業法務の割合が比較的多いものの、離婚・相続や交通事故といった争訟事件が多いというような普通の法律事務所でした。

アソシエイトとして充実しつつも徐々に疲弊する

マチ弁事務所のアソシエイト弁護士として働き始めた当初は、初めて目にする様々な事件を処理することに充実感を感じていました。

特に様々な争訟事件を経験したことで、争訟に発展した場合どういう展開・結論になるか(ある程度)見通しが立てられるようになったことと、争訟を有利に進展させるための文章力・論理的思考力等を(ある程度)身につけられたことは、今思えば、後述するインハウスとして働く際にもとても有益だったと思います。

ただ、次第に、感情がこじれた離婚・相続事件や、被害者のいる刑事事件を処理することに精神的負担を感じるようになり、また、損害額が極めて小さい交通事件などやりがいを感じられない事件も多かったため、少しずつ疲弊していきました。

パートナーとして自由を謳歌するが将来への不安が募る

こうして何とか数年経験を積んだ頃、事務所からパートナーへの就任を打診されました。
正直、自分一人で生計を立てていくことに対する不安は強かったものの、パートナーの指示の下で事務所の事件を処理することにストレスを感じるようになっていたことと、何より、打診を断る選択肢はないのだろうなという思いもあり、パートナーに就任することになりました。

パートナー弁護士になった当初は、事務所から案件が振られない、自分の裁量で仕事を進められるという自由な環境を謳歌していました。
ちょうど第一子が生まれたタイミングでもあったので、時間の自由が生まれたことはとても有難かったです。

しかしながら、次第に、なかなか案件が獲得できない、結果、収入が増えない/安定しない、獲得できる案件の多くは交通事故で、とてもやりがいを感じられないということで、自分の将来に不安を感じるようになりました。

そんな折、事務所の紹介で、数年間だけ、顧問先の民間企業で勤務しないかというお話をいただき、熟慮の末、インハウスロイヤー(企業内弁護士)としてのキャリアを歩むことになります。

インハウス時代

以上の経緯で、30代になって人生初めての会社員生活をスタートさせることになりました。

望んでいた企業法務の世界

インハウスとしては、法律事務所時代には担当する件数の多くなかった様々なジャンルの契約書チェックや下請法や個人情報保護法などに関する法律相談に従事する機会に恵まれました。
法律事務所時代に一般民事事件・家事事件に疲弊し、企業法務に注力することを志向していた僕にとっては、こうした経験はとても得難いものでした。

再びキャリアの迷子に…

他方、法律事務所での勤務経験しかなかった僕にとっては、会社員生活には、物足りない部分もありました。

例えば、民間企業においては、法律事務所よりもいっそう指揮命令系統がはっきりしていますので、一法務部員として入社した僕も、その一部に組み込まれました。
その結果、法律事務所時代であれば自分の責任で判断していたような事柄も、上司や経営層の判断を仰がなければならず、どこか他人事のように思えてしまい、やりがいを感じられなくなった部分がありました。
もっとも、この部分は自分自身がもっと主体的・積極的に案件に取り組めば、違った結論になっていたかもしれないなとやや反省している部分でもあります。

また、インハウスの場合、社内から様々な事柄について相談を受けるため、幅広い案件に触れる機会があるものの、経験のない分野や調べてもわからない論点については、最終的に外部の法律事務所の弁護士に頼ることになります。
そうすると、結局、個々の法務部員は専門的な知識やノウハウを身に着けることができず、今後、法律事務所で弁護士としてやっていく際に武器となるような専門性を身に着けることができないのではないかという危機感を抱くようになりました
ちょうど年次的に、同期の弁護士が書籍を執筆したりセミナーを担当していたりと、専門性を磨いているように見える時期でもあったため、より一層、将来のキャリアについて不安を感じたのだと思います。

キャリアコンサルタントの道へ

そういう危機感を覚える中で、僕自身も将来のキャリアのために何か武器を身につけなければと考え、ちょうど同時期に妻が取得していた国家資格キャリアコンサルタントを取得してみようと勉強を始めました。

キャリアコンサルタントというのは、職業選択やキャリアプラン等に関する助言を行う人事系の国家資格ですので、「弁護士がなぜ?」と思われるかもしれません。

僕としては、インハウスとして勤務する中で、法務部というのは、契約書チェックなどの細かい作業やトラブル対応などのネガティブな業務で精度の高い仕事が求められる一方、事業部門等からは感謝されにくいために法務部員自身がやりがいを感じにくい、専門的な知識を持つメンバーが個々人で仕事をする傾向にあるために人事評価や人材育成が難しいといった課題があると感じるようになりました。
そのため、実際に企業での勤務経験のある弁護士として企業に対してアドバイスを提供するにあたって、この人事としての資格・知識が活かせるにせるに違いないと考えて、キャリアコンサルタントを取得することを決めました。

再び、法律事務所時代ーこれからの展望

以上の3年間の会社員生活を経て、再び、法律事務所に復帰しました。
法律事務所に復帰してからはあまり日がたっていないのですが、冒頭述べたように、これからのキャリアについては、以下のような展望を抱いています。

  • 弁護士として、民間企業での勤務経験を活かし、顧問業務法務部門の立ち上げ支援法務機能のアウトソーシングに取り組む
  • 弁護士兼キャリアコンサルタントとして、一人ひとりの弁護士(特に若手)が自分らしいキャリアを歩めるようなサポート、法律事務所の組織そのものをより良い組織にすることを通じて、そこで働く人(弁護士だけでなく事務員も)がやりがいを感じられるようなサポートを提供する

弁護士として

上記の通り、民間企業での勤務経験を活かし、顧問業務・法務部門の立ち上げ支援・法務機能のアウトソーシングに取り組むという展望を抱いていますが、民間企業での勤務経験があるとはいっても、すぐに顧客を獲得することができるわけではありません。
そのため、最初の法律事務所時代と同様、案件の獲得には苦労しているのが実情です…。

ただ、以前、思うように案件が獲得できない焦りから、ちょっとややこしい案件・気乗りしない案件でも構わず受任したことで、却ってストレスが増してしまったという反省もあり、今後は、自分の関心のある分野に特化して依頼を受けていきたいと考えているところです(理想論ですが…)。

キャリアコンサルタントとして

弁護士兼キャリアコンサルタントとしては、まず、現在、自らの組織が抱える様々な課題を解決すべく奮闘しています。

企業の内部を見た経験のある者から見ると、法律事務所は(5大法律事務所などは別かもしれませんが)、結局、その多くが個人事業主の集まりに過ぎないのだなと感じます。
例えば、人事評価についていえば、明確な基準などは存在せず、代表あるいはパートナー弁護士の独断で決定されており、きちんと制度化されていないという法律事務所が多いのだろうなと思います。
何でもかんでも制度化すればいいというものではないと思う反面、そこで働くアソシエイト弁護士や事務員の立場からすれば、処遇などの仕事の根幹をなす部分については、きちんと目に見える形にする必要があるのではないかと考えています。

この点については、僕が自組織で実施した取り組みやその効果について、可能な範囲で紹介していければと思っています。

おわりに

今回の記事では、弁護士の就職活動・弁護士のキャリアという観点から、僕自身が弁護士兼キャリアコンサルタントになるまでの経緯について、お話しさせていただきました。

あくまで僕個人の経験と主観に基づく体験談ですので、すべての方に当てはまるわけではないことは承知の上ですが、法律事務所の就職活動をされている方や、弁護士になろうと考えている方、弁護士でキャリアに悩まれている方にとって少しでも参考になれば嬉しい限りです。

今後も、弁護士兼キャリアコンサルタントとして、僕自身が行ってきた取り組みや弁護士のキャリアについて、ご紹介していきたいと思っています。どうぞよろしくお願いします!

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