こんにちは!ちーたらのパパです。
メーカーで勤務していた頃、新たな知識を吸収すべく、お昼休みやスキマ時間にスマホをいじるのではなく読書をすることを始めました。
法律事務所に復帰した現在も、弁護士(特に若手)の皆さんが自分らしいキャリアを歩めるように、また、法律事務所の組織そのものをより良い組織にすることで、そこで働く人がやりがいを感じられるように、サポートすることをミッションを実現するために、法律分野に限らず、新たな分野の知見を得るために、様々な分野の本を読むようにしています。
僕の掲げるミッションについて、詳しくはこちらをご覧いただけると嬉しいです!
このブログでも、僕が読んだ本の紹介とそこから得られた気づきなどを紹介していきます!
今回は、こちらの本を紹介します!
あらすじ
本書の著者ジル・チャンさんは、本書の著者紹介の中で、
ハーバード・シード・フォー・ソーシャル・イノベーション、フェロー。アメリカの非営利団体でフィランソロピー・アドバイザーを務める。過去2年間で行ったスピーチは200回以上に及ぶ。15年以上にわたり、アメリカ州政府やメジャーリーグなど、さまざまな業界で活躍してきた。
本書著者紹介より引用
と紹介されているように、輝かしい経歴をお持ちの方です。
こうした経歴を見ると、コミュニケーション能力が高く、積極的で活発な方なのではとイメージしますが、実際は、コーヒーを買ったときにおつりが間違っていても言い出せないほどの内向型だそうです。
本書では、このような内向型の著者により、自身の経験・エピソードを踏まえながら、自分と同じ内向型の人が社会で活躍するための方法が述べられています。
僕自身、あまりよく知らない人と話すのが苦手な人見知りで内向型だと自認していますので、本書は、「あるある!」とうなずけるエピソードが盛り込まれていたり、内向型が仕事をする上で役に立つアドバイスが多数紹介されていたりで、あっという間に読み終わってしまいました。
この通り、本書は、
- 僕のように内向型で仕事や人との接し方に悩んでいる人
- 外向型だけど、周りにいる内向型の人のことを理解したい人
にオススメしたい一冊です!
本書から得られた気づき
①社会で活躍しているのは外向型ばかりではない
そもそも、本書でいう外向型・内向型というのは、スイスの精神科医・心理学者ユングによる性格分類の一類型に基づく整理と思われますが、広辞苑によると、次のように定義されています。
◆外向型(外向性)
広辞苑(第7版)
:外のものに関心を示し、自分を外に向かって表現し、他人が自分のように行動することを望み、人に見られているときに仕事が余計にできるというような性格。
◆内向型(内向性)
:引っ込み思案で、心の内に関心を向け、主観的で、他人との関係を避けたがるような性格。
この定義を見ても、外向型=積極的で、おしゃべりがうまく、誰とでも仲良くなれる、そんな人の方が、仕事ができる・仕事で成功しているというイメージを持たれるのではないでしょうか。
しかし、本書では、内向型であっても、自らの能力を発揮することで社会で活躍できるということが一貫して述べられています。
実際、内向型の著者自身の活躍についてのエピソードがいくつも語られたり、内向型でありながら、世界に大きな影響力を及ぼしているリーダーの具体例として、イーロン・マスク、ビル・ゲイツ、ウォーレン・バフェットなどが紹介されています。
僕自身も、自分の周りで仕事で活躍している人というと、何となく外向型の人を思い浮かべていましたし、後述の通り、弁護士として仕事をするにあたっても、外向型のように振舞わなければと思い込んでいた節がありました。
本書を読んで、社会で活躍しているのは外向型ばかりではないということに気づけたことで、僕自身、肩の荷が下りたような、どこかほっとしたような気持ちを持てました。
本書は、基本的に、内向型・外向型という2つのタイプの分類を前提とした記述となっています。
この分類の根拠として、内向型と外向型とでは脳の構造が異なり、先天的に(遺伝的に)内向型・外向型のいずれかの傾向が顕著な人がいるという記述があります。
他方で、内向型・外向型には環境などの後天的な影響もあるとも述べられており、それぞれの性格を形成しているのは、先天的な側面と後天的な側面の両方があるのが通説だとされています。
実際、内向型の傾向をもって生まれた人であっても、学校や職場に順応するために、初対面の人ともコミュニケーションを取っている(あるいはそのように努力している)というのは、前述のイーロン・マスクなどの著名なリーダーの例を見ても理解できるところではないかと思います。
この通り、内向型・外向型と一口に言ってみても、それが絶対的な分類ではなく、結局は、自分あるいは周りの人がどういうタイプの人間なのかを理解しようとする心構えが重要なのであって、本書を読む上でもこの点は留意しなければならないと思います。
②無理に外向型になろうとする必要はない
本書を読むまでは、仕事で活躍するためには、外向型に近づく必要がある=明るく、活発になる必要があると思い込んでいました。
特に法律事務所でパートナー弁護士として働き始め、自分で自分のクライアントを獲得しなければならない立場になってからは、異業種交流会などに参加して、外向型のように活発に振舞い、クライアントを獲得しなければならないのではないかと漠然と考えていました。
また、僕が最初に入所した法律事務所のボス弁は、おそらく外向型で、仕事をする上でも、自分の実績をアピールしたり、クライアントと雑談をするのが得意だったり、時にはクライアントのために怒りの感情を露わにすることができる人でした。
僕自身、こうしたボス弁の姿を見ながら弁護士としての経験を積んできたこともあり、「弁護士としてやっていくためには外向型に近づかなければ」と無理をしていた面があったと思います。
しかし、本書では、「『外向型になろう』は得策ではない」、下記の通り、内向型には内向型のやり方があるということが述べられています。
外向型になろうと努力したところで、内向型の悩みがすべて解決するわけではない。
ジル・チャン著『「静かな人」の戦略書』
それどころか、内向型には内向型の能力が備わっている。それを発揮するには、内向型ならではのやり方があるのだ。
さらに、内向型が自らの能力を発揮するための具体的な方法もいくつか紹介されています。例えば、
- プレゼンの場で、はったりをかます必要も、業界用語を並べ立てる必要もない。「控えめな態度」で話をすればよい。
- トラブルが発生したときに、感情的になっている同僚やクライアントに対して、怒鳴り返したり、あえて「強い態度」に出る必要はない。一歩引いて冷静に対応すればよい。
といったような具体的な方法が紹介されていました。
こうしたアドバイスは、内向型を自認している僕にとっては、とても心強いエールのように感じました。
本書を読むまでは、自分は自分なのだから、ボス弁や他の外向型の弁護士と同じように振舞う必要はないと思いつつも、あまり仕事がうまく行かない状況の中で、本当にこのままの自分=内向型の自分でいいのだろうかと葛藤がありました。
そうした中、この部分を読んで、背中を押されたようで、気持ちが楽になりました。
もちろん、内向型が内向型のままでいいとはいえ、仕事をする上でコミュニケーションを取ることは避けられません。
本書でも、「『コミュニケーション不要の仕事』はない」と述べられている通り、どのような仕事であれ、ずっと一人で黙々と仕事をし続けることができるわけではありませんので、ある程度、内向型が苦手とするコミュニケーションなどにも取り組まなければなりません。
そのため、重要なのは、自分が内向型であるということを認識し、内向型としての強みを発見・分析した上で、自分にぴったり合った仕事を見つけること、ぴったりの仕事が見つからなかったとしても、今の仕事の中で自分の性質・強みにあった仕事のやり方を見つけることなのだと思いました。
③冷静な力を「人前」で生かす方法
前述の内向型の定義にもある通り、一般に、内向型の人にとっては、人前で話したり社交の場に出ることは、苦痛に感じることの一つではないかと思います。
僕自身、前述の通り、クライアント獲得のために異業種交流会などの会合に出かけることもありますが、その場で初めて出会った人と、自己紹介をして何気ない雑談を交わすこと、そしてそれが次々と繰り返されるこの手の会合がとても苦手です。
本書では、これまで多数の会合に参加してきたであろう著者ならではの会合を乗り切るための方法がいくつも紹介されていて、とても参考になりました。
具体的には、
- 効果的な自己紹介・「雑談のネタ」を用意しておく
- 「たくさんの人」と話さなくていい
- 「少人数」の輪に入る
- 「ゆっくり」となじんでいく
などといった方法が紹介されています。
1点目の自己紹介や雑談のネタについては、今までは、深く考えることもなく、「その場で考えて話せばいいや」と思っていました。
でも、確かに言われてみれば、知らない人と話すのが得意ではない自分が、その場で臨機応変に対応するというのは無理な話ですよね(笑)
また、その他の点についても、今までは社交の場では、たくさんの人と知り合い、印象に残るような話をして次に繋げるのが正解なんだと何となく思っていましたが、無理をせず、自分のペースで、自分が心惹かれた人やターゲットとなるような人とだけ話をすればよいというのは、とても実践的なアドバイスで、これなら自分でも社交の場をうまく生かすことができそうだと感じました。
余談ーパパは内向型・ママは外向型
余談ですが、本書には、冒頭、自分が外向型か内向型かをチェックする簡単なテストが掲載されています。
早速やってみたところ、僕は、やっぱり自己認識通り、圧倒的に内向型の傾向が強いことがわかりました。
ママにもやってもらったところ、全く逆で、圧倒的に外向型の傾向が強いという結果に。
以前から僕が内向型で、ママは外向型だと何となく思っていたものの、(簡易とはいえ)テストで結果が出ると面白いですね(笑)
夫婦で性格のタイプが違うとなると、何となくうまく行かないのではと思われるかもしれませんが、実際にはそんなことはありません。
むしろ、お互いがそれぞれの得意なことをやり、苦手なことはお互い補完しあうということができるので、ちょうどいいバランスが成り立っているように感じています。
例えば、旅行に出かけるときや休日の過ごし方でいえば、ママの方から、〇〇に行きたい、〇〇がしたいというような大まかなアイデアを出してくれたのに対して、僕が具体的なプランに落とし込むといった具合で、お互いの性格や得意なことが違うおかげで、うまく回っている部分があるように思います。
この点については、実は、本書にも仕事上のチームという観点で言及があり、「内向型と外向型の両方で構成されたチームが非常に効果的である」と述べられていて、とても納得できました。
とはいえ、異なるタイプの人間からなるチームで成果を出すためには、リーダーにチームをまとめる手腕が求められます。
本書でも、具体的な方法として、まずメンバーがどういうタイプかを理解することや、メンバー全員が自分自身のことを率直に伝えられる環境を整えることなどが紹介されています。
もっとも、この点については、結局は、内向型か外向型かというタイプだけでなく、様々な個性を持ったメンバーからなるチームをどう率いていくかというリーダーシップの議論になると思います。
本書でも一部紹介されてはいますが、メインのテーマではありませんので、個人的には、リーダーシップについては、別途、勉強していきたいと考えているところです。
おわりに
以上、ジル・チャンさんの『「静かな人」の戦略書─騒がしすぎるこの世界で内向型が静かな力を発揮する法』をご紹介しました。
冒頭でもご紹介した通り、本書は、内向型の著書の目線で、内向型の人が能力を発揮し社会で活躍するための方法が紹介されていますので、特に内向型の人にとっては、親近感を感じられ、かつ、今後の行動に活かすことができる実践的な内容になっていると感じました。
本書でも述べられている通り、現代社会では、「優れた表現力と社交力」を有した人≒外向型が高く評価されやすい傾向があるように思いますので、そうした行為が苦手な内向型の人の中には、生きづらさを感じていらっしゃる方もいるのではないかと思います(僕自身そういう面があります)。
そうした悩みを抱えている人にとって、本書は、寄り添いながら背中をそっと押してもらえるような内容の一冊といえるのではないかと思いますので、ご興味を持たれた方は、ぜひ一度手に取ってみてください!
僕たち自身のこと、今までの読書記録については、こちらの記事もご覧ください!
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