子どもを一人の主体として受け止める

チーム育児

おはようございます!ちーたらのパパです。

先日、所属する弁護士会のイベントで、京都大学の大倉得史教授のお話をお聞きする機会がありました。
発達心理学を研究されており、ご自身も子育て中である先生のお話は、子育て中の僕にとって非常に興味深い内容でしたので、シェアしたいと思います!

子どもとの関わり方に悩まれている方の参考になれば嬉しいです!

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子どもを一人の主体として受け止める

今回のご講演のテーマは、「子どもを一人の主体として受け止める」でした。
僕たちも、「子どもを大人とは別の一人の人格として接する」ということを子育ての基本原則と考えているので、先生のお話は非常に興味深かったです。

子どもを無条件に受け止める

まず、印象に残っていることは、

  • 日本には自己肯定感が低い若者が多い
  • その原因は、社会・教育にあるのではないか

というお話です。

少し古いですが、先生が紹介されていた内閣府発行の「平成26年版子ども・若者白書」によると、日本の若者のうち、自分自身に満足していると答えた者の割合は半数に満たない45.8%で、諸外国に比べても極めて低い結果でした内閣府「平成26年版子ども・若者白書(全体版)」「特集1 自己認識」参照)。

内閣府「平成26年版子ども・若者白書」参照

また、同じく内閣府発行の「令和元年版子供・若者白書」でも、自分自身に満足していると答えた日本の若者の割合は5割弱であり、諸外国に比べて最も低い結果でした(内閣府「令和元年版子供・若者白書(概要版)」「特集1 日本の若者意識の現状~国際比較からみえてくるもの~」参照)。

内閣府「令和元年版子供・若者白書」参照

そして、大倉先生は、こうした日本の若者たちが自分に自信を持てなくなっているという現状について、日本の社会・教育が、幼少期から、「〇〇の力」(例えば、英語力、プログラミング力など)を身に付けさせるという”力の育成”に傾いているからではないか、その結果、若者が条件付の自信(=〇〇できることによる自信)しか持てなくなってしまっているのではないかと分析されていました。

そうではなく、特に幼少期においては、後でご紹介する通り、一人の主体として、子どもをありのまま受け止めることで、自己肯定感をはぐくむことが一番重要だと語られていました。

以上のお話は、僕たち自身も子育てのポリシーとしている考え方で、非常に共感できるお話でしたが、一方で耳が痛いお話でもありました。
僕自身のことを振り返ってみても、仕事で疲れているときだったり、精神的に落ちているときなどは、

  • ちーたらが自分の言うことを聞く➡機嫌よく接する/褒める
  • ちーたらが自分の言うことを聞かない➡不機嫌になる/叱る

というように、ちーたらが”良い子”のときだけ優しい顔をするというような対応を取ってしまっていると感じることがあります。
そのせいか、ちーたらが僕の顔色を窺うようにしながら「パパ怒ってる?」と聞いてくることもあったりして、「やってしまった…」と反省することもしばしば。
こうした親の関わりが、子どもの自信や自己肯定感を失わせてしまっているとすれば、本当に申し訳ないことだと思います。

今回、大倉先生のお話をお聞きし、改めて、子どもをありのままで、無条件に受け止めることがとても大事なんだという思いを強くしました。

条件付きで受け入れることの弊害

また、条件付きの自信=〇〇できることによる自信に関しては、「〇〇ができなければ価値がないという考え方と表裏一体であるという指摘があり、ドキッとさせられました。

この指摘は、要するに、条件付の自信には、次のように、自分自身が自信を失うという弊害他者を評価することによる弊害の二つの弊害があるということだと理解しています。

  • 子どもを条件付で褒めることを続ける(例えば、「ピアノが弾けてすごいね~」)。
  • 子どもは、〇〇できることがすごい、〇〇できる自分はすごいと考えるようになる。
  • しかしながら、何らかの原因で〇〇ができないという壁に直面すると(例えば、ピアノのコンクールで入賞できなかった)、自分自身について、「ピアノができない僕はダメな子なんだ…」と自分を責めたり、嫌いになり、結果的に自信を失ってしまう。
  • また、他者との関わりについても、「あの子は〇〇できないからダメなんだ」と考えてしまい、ひいては、「ダメな奴だからいじめてもいいんだ」などという発想になってしまいかねない。

自分自身のことを振り返ってみても、ちーたらをありのまま無条件に受け止めるという姿勢で接しているつもりではあるのですが、例えば、上手に絵を描いていたりすると、「上手に描けてるね!」などと褒めることもあるなと思います。
こうした関わりが直ちに条件付きで受け入れているということになるわけではないと思うものの、最近、ちーたらが自分と保育園のお友達を比べたり、「一番になること」にこだわりを持っているような言動を見せることがあったので、「もしや条件付自信になっているのでは…」という不安も。
保育園の生活の中で、他の子と比べて得意なこと不得意なことが表れてきたり、運動会などのイベントで他者と競争をするという経験をし始めたことも影響しているのかなと思うのですが…。
いずれにせよ、自分の関わりが条件付になってしまっていないかという点は、常に意識しておきたいポイントです。

「私は私」と「私は私たち」の両面をはぐくむ

今回の講演で一番印象に残ったのは、親は、子どもの中に、「私は私」と「私は私たち」という2つの心をはくぐむことが重要というお話です。

「私は私」という側面は「自分らしく生きたい」という自己肯定感を指すものとして、「私は私たち」という側面は「周囲の人と共に生きたい」という感情・人間の社会性を指すものとして、使用されています。
「私は私」が強くなりすぎると孤立してしまうし、「私は私たち」が強くなりすぎると他人の顔色ばかり窺い自己主張ができなくなってしまう。だから、人間が生き生きと元気よく生活していくためには、この両者のバランスが大事であって、子育ての一番の目標はこの両面の心を備えた人間を育てることだというお話があり、強く印象に残りました。

子どもの思いは受け入れる、行動はその都度判断する

そして、この「私は私」と「私は私たち」という両面の心をはぐくむために、「子どもを一人の主体として受け止める」ことが必要だとお話されていたのですが、家事に仕事に忙しい毎日の中で、子どもの言うことばかり聞いていられないというのが、共働き子育て世帯の親の本音ではないかと思います。

この点に関して、
行動の背後にある思いは常に受け入れる。他方で、行動は受け入れられるか否かその都度判断する
というお話があり、とても参考になると思いました。

例えば、子どもが晩ご飯の時間になっても、おもちゃを片付けずに遊び続けているというのは、どこのご家庭にでもあるお悩みの一つではないかと思います。
こうしたとき、「早くしなさい!」などと言って、無理矢理遊びを中断させ、食卓に座らせるという行動を取ってしまいがちですが、ここで一歩踏みとどまって、まず、子どもが遊び続けている理由やその思いに目を向けてみようとお話されていました。
そうすれば、ちょうど子どもが遊んでいる積み木のお城が完成しそうだということに気付けるかもしれません。その上で、親が子どもに「今ちょうど面白いところだね。終わったら晩ごはんにしようね」などと声を掛けることで、子どもの気持ちを受け止めることが必要だとお話されていました。

他方で、子どもの行動が親として受け入れることのできないものであるとき(例えば、子どもがきょうだいのおもちゃを無理矢理横取りしたとき)も、同様にまず子どもの行動の裏にある気持ちを受け止めることは必要です
その上で、”してはいけないこと”や”してほしいこと”を、提案の形で伝えること(例えば、「おもちゃ貸してって言ってみる?」)が重要だとお話されていました。

そもそも、「子どもを一人の主体として受け止める」ということは、子どもの言うことや行動をすべて受け入れることとイコールではないということは、考えてみれば当たり前のことですが、誤解しやすいポイントだなと感じました。
僕自身、「行動の背後にある思いは常に受け入れる。他方で、行動は受け入れられるか否かその都度判断する」という両者の違いは、肝に銘じておかなければならないと感じました。

親がしてほしくないと思っていることをやめさせたり、親がしてほしいことをしてもらうのは、本当に難しいですよね。
こうした場合、「叱る」という行動を取ってしまいがちですが、親が子どもを叱り続けていると、親と子どもとの関係性は悪化するばかりです。
この点を含め子どもとの関わり方については、別の記事で紹介した岸見一郎さんの『改訂版 叱らない子育て』も参考になります。よろしければこちらの記事もご参考にしてみてください。

まとめ

以上、「子どもを一人の主体として受け止める」ことの重要性について、特に僕が印象に残ったお話を中心にまとめてみました。

子どもの虐待などの悲惨なニュースを見ると、子どもを自分の所有物のように扱う人がいるのだなといたたまれない気持ちになりますが、そこまでいかなくとも、「子どもは親の言うことを聞くべき」という考え方を持っている方は相当数いるのではないかなと思います。
親がこういう考え方で子どもと接してしまうと、今回の記事で紹介したような「子どもを一人の主体として受け止める」という関わりは難しくなってしまいます。
今回の大倉先生の講演を聞いて、子どもとはいえ、自分とは別の人格であるという意識を持つことが、何より重要なのではないかという思いを強くしました。

子育て中の皆さんの参考になれば嬉しいです!

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